情熱と自前主義バイアス

Written by KFS on . Posted in リサーチと行動経済学

こだわり or 思い込み?
リサーチ結果に対する冷静な視点と情熱のバランスの問題

目次

自前主義バイアスとは

自分で生み出したアイディアに愛着を感じ、高く評価してしまうこと。
逆に言えば、自分の会社や自分のアイディアへの思い入れが強く、その否定につながる意見や、より優れたアイディアを排除してしまう場合があるということです。
「ここで発明されたものではない-(Not-Invented-Here)」バイアスとも言います。

例えば、アップルが成功した理由の1つに、水平分業型ビジネスモデルが上げられ、一方、国内家電メーカーがここ数年来、不調に陥っているのは、半導体、液晶パネル、組み立てなど、すべてを自社で抱える垂直統合型モデルが理由の1つと言われています。

水平分業型のビジネスモデルも、垂直統合型のビジネスモデルも、それぞれ、メリット、デメリットがありますが、垂直統合型モデルが問題となる要因の1つに、「自前主義バイアス」が働いてしまうことも一因だと言われています。

他の優れた企業の製品やアイディアを取り入れることが、コスト的にも、顧客満足度的にも必要と本当は理解しているはずなのに、自社を優先してしまう・・。

なぜなら、それは、「ここで発明されたものではない-(Not-Invented-Here)」からという理由で。

特に今までの成功体験が多い企業だからこそ、自前主義バイアスに陥りやすいという「成功体験のジレンマ」が働いてしまうのかもしれません。

マーケティングリサーチと自前主義バイアスの関係

リサーチの現場においても、この「自前主義バイアス」に直面するケースは、少なくありません。

例えば、コンセプト受容度テストで、ユーザーからの反応が鈍く、仮説があまり正しいとは思われない場合、
顧客満足度調査などで、あまりユーザーからの評価が得られない場合・・。

ことはなかなかやっかいです。

「こんなはずはないんじゃない?」

面と向かって調査結果に異を唱える方はさすがにいらっしゃいませんが、企画立案者や開発者の立場の方は、あまり納得されない場合もあるようです・・・。

しかし、大人の世界は怒られないかわりに厳しい・・・。
マーケティングの失敗は、すぐに、数字で現れてしまいます。

ただし、「自前主義バイアス」の良い点は、それだけ、関与度が高いからこそ、情熱を傾けられる対象であること

結局、最後にプロジェクトの正否を決めるのは、「どれだけ情熱を傾けられるか?=思い入れ」の強さによって、決まる部分も多いのではないでしょうか?

自前主義バイアス・・。

ビジネスの進め方においては「自前主義に過度にこだわること」は悪のように言われていますが、それがイノベーションの原点の「情熱」に繋がるのなら、悪いことではないと思っています。

こだわりを持ちながらも柔軟に対処しようとする姿勢が大切、

コアとなる強みを生かすために、何をどのように変化させるか?
客観的な視点でマーケティングプランを軌道修正する上でも、調査は役立つと思います。

まとめ:リサーチにおける自前主義バイアスと情熱の問題

自前主義バイアスとは

  • 自分で生み出したアイディアに愛着を感じ、高く評価してしまうこと
  • 逆に言えば、自分の会社や自分のアイディアへの思い入れが強く、その否定につながる意見や、より優れたアイディアを排除してしまう場合があるということ
  • リサーチは、この視点の歪みを矯正する手段であること

大事なのは、リサーチは、生活者やユーザーの視点を通じて、作る側の視点の歪み=「自前主義バイアス」を矯正する・軌道修正するための手段だということなのですが、それは、あくまでも、「否定ではなくて、矯正であり、軌道修正」です。

結局、自前主義バイアスは、単純な「悪」ではなく、イノベーションの原点である「情熱のモト」と考えるのがわかりやすいと思います。

こだわりを持ちながらも、生活者視点を取り入れる柔軟な姿勢、そのバランス感覚が大事で、そのための手段として、リサーチが活きてくると考えます。

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