はじめに-リサーチと思考法

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KFSでは、調査を行う前の段階と後の段階、つまり

  1. 調査実施前の調査設計段階で、誰にどのような調査を行うかについて考える
  2. 調査実施後、分析を経た上で調査会社としてどのようなアクションプランの提言を行うかについて考える

 

場合は、目的から最短距離の方法を探るラテラルシンキングによる発想を大切にしています。

しかし、それは、ロジカルシンキングを軽視しているというわけでは全くありません。

調査を行う際には、ロジカルシンキングとラテラルシンキングの両方が補いあい、双方の良さを活かすことが重要だと考えています。
まず何より、私自身がロジカルシンキング信奉者です。

ロジカルシンキングとは、論理的(ロジカル)に考える(シンキング)=誰でもわかりやすい、筋道が通った考え方」のこと。

ロジカルシンキングは、ビジネスマンにとって不可欠なものという認識が広がっていますが、調査会社のリサーチャーの仕事は、それができない人はこの業界で「リサーチャーと名乗る資格なし(のはず、少なくともKFSでは。)」の必須スキルです。

本コラムでは、ロジカルシンキングとラテラルシンキングについて、リサーチに関連する内容を書いていきたいと思います。

 

リサーチとロジカル&ラテラルシンキング・コンテンツ

はじめに:リサーチと思考法
【第1回】So What?/Why So?(調査目的の明確化)
【第2回】調査設計とロジカルシンキング
【第3回】Fact&Stick:定量調査と定性を組み合わせた ハイブリット調査の薦め(調査手法)
【第4回】みんなって誰?-代表性(調査対象者の選定)
【第5回】定量的な裏づけ-標本数:サンプルサイズ(標本数)の考え方について

関連情報

KFSの調査におけるラテラルシンキングの取り入れ方についてさらに詳しくはこちら→

【第1回】So What?/Why So?(調査目的の明確化)

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「So What?/Why So?」から始まる調査とロジカルシンキング

「目的の明確化」についての一考

 

調査について、お客様からご相談を受けたり、オリエンテーションを受ける場合、KFSでは、できるかぎり、直接お客様の所へお伺いして、お客様と調査目的について、ディスカッションをするための時間を持つようにしています。

 

というのは、調査目的についての文言、例えば、

「○○の実態を知ることで、今後の商品開発に資する」

「○○についての顧客満足度実態を測定することで、今後の顧客との関係改善を図る」

などだけでは、結局、何を情報として得たいのか、ゴール設定がよくわからない、何を論点に調査全体を組み立てればよいのかがよくわからない・・・。

「So What?(だから何?)」に陥ってしまうからです。

聞きたいのは、「Why So?(なぜ、そのように思うの?)」です。

 

お客様自身が、なんとなくイメージしている、もやもやとした調査への期待、文章にはなっていないかもしれないけれど、その背景にある思いや狙い、これらの「Why So?」を、会話を通じてクリアにしていき、相互理解を深めて調査目的をオーソライズしていく手腕こそが、調査会社に必要なスキルだと思います。

そして、このプロセスは、非常に重要。
なぜなら、

【第2回】調査設計とロジカルシンキング

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リサーチの現場ではロジカルシンキングがバックボーン

調査において必要なロジカルシンキングの考え方
-リサーチの基本のキ-

 

ロジカルシンキングとは、本来、「論理的(ロジカル)に考える(シンキング)・筋道を立てて考える」思考法ですが、リサーチの現場における「ロジカルシンキング」は、以下が特に重要となる基本の考え方になります。

調査において必要なロジカルシンキングの考え方

1. 目的思考:(ドリルを買う人が欲しいのは「穴」であることの理解)

  • 目的遂行には複数の手段があることへの認識
  • 手段の議論におぼれない
  • 議論が帰るべきアンカー(固定されるべき錨)の明確化
  • 目的と手段を混同しない

2. ゼロベース思考:

  • 既存のやり方や慣習の払拭・ゼロから最善の方法を考える
  • 思考の枠を広げることで今までとは異なる解決方法を見出す

3. フレームワーク思考:

  • 漏れやダブりなどがないように全体像を見渡す
  • 思考の幅を広げるフレームワークを活用する

4. 優先順位付け・重点志向: 

  • 上位目的と下位目的のプライオリティづけ、正確な認識
  • 枝葉末節よりも、本質論にフォーカス

5. グランドデザイン思考(マクロからミクロへ):

  • 全体と部分の関係把握、構成要素への落とし込み
  • 全体構想思考
  • 逆算思考(結論から逆算して、やるべきことを考える)
  • あるべき姿と現在の姿のギャップに基づく目標設定、戦略&戦術プラン策定

6. 仮説思考:

  • 仮説立案→検証サイクルを回していくことで、闇雲に対策を打つよりも効率的に回答を導き出す

リサーチの現場でのロジカルシンキング-調査設計編

ロジカルシンキングを生かした調査設計の作り方
-「詰めの甘い」調査設計を作らないために。-

具体的に、まず、調査を計画する際の始めの段階、「調査設計を考える」際のプロセスに、ロジカルシンキングの考え方がどのように生かされているのかを見て行きましょう。

【第3回】Fact&Stick:定量調査と定性を組み合わせた ハイブリット調査の薦め(調査手法)

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記憶に粘る事実を示す

”数字”で納得させて、”ストーリー”で腹落ち感を高める

ロジカルシンキングで重要な考え方は、「Fact(事実・ファクト)」です。

つまり、主観ではなく、誰が見ても納得できる客観的な事実であること。

調査には、大きく、「定量調査」と「定性調査」の2つがありますが、ロジカルシンキングの考え方と相性の良いのは、定量調査。

「誰々さんの意見や感想」といった定性データよりも、数字で示せる定量データで根拠を示すほうが、皆と同じ土俵で考えることが可能になります。

特に調査を問題点の指摘や今後の改善に活かしたい場合は、定量調査の出番といっても良いのではないでしょうか?

主観的な情報に頼れば、会議において議論が行き詰ってしまいますし、主観的な意見に基づく問題点の指摘合戦になってしまえば、本来、改善策を打ち出し、POSITIVEに取り組むことを議論する場が、感情的なしこりを生んでしまうことにもなりかねません。

 

「今回の新商品は、失敗でした。おそらく、XXとYYが原因だと思います」といった意見よりも、

【第4回】みんなって誰?-代表性(調査対象者の選定)

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調査の信頼性向上に向けて

調査対象者における「代表性」とロジカルシンキング
-調査対象者の選び方についてロジカルに考える-

 

調査全体のアウトフレームから、個別調査に落とし込む際には、調査目的に沿って

  • 調査対象と対象者の抽出条件
  • サンプルサイズ

を決めていかなければなりませんが、今回はこのお話です。


子供(のり君):○○買って―――!

ママ:ダメ!

のり君:なんで、みんな持ってるよ、買って―――!

ママ:みんなって誰よ?

のり君:たくちゃんとまさやくんでしょ、それから、けいちゃんも!

ママ:後は?

のり君:あとね—、

ママ:あとは誰、他には???

のり君:え-っと!

ママ:3人だけじゃん。絶対ダメー!!


 

子供のころ、親にこう言われた記憶はありませんか?
なぜ、のり君は、ママを説得できないのか?

ロジカルシンキングでちょっと考えて見ると、

この「みんな持ってる、みんな言ってる」に説得力を持たせる筋道こそ、調査対象者の設定とサンプルサイズの問題を考える際の1番わかりやすい考え方です。

もし、この子供(のり君)が桜小学校の1年A組に通う男の子と仮に設定し、考えてみます。